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向田邦子の水ようかん その2

「水ようかん評論家」を自称していた向田邦子は、そのものズバリ『水羊羹』というエッセイを書いている(随筆集『眠る盃』に収められている)。
彼女の水ようかんに対する拘りとは、例えばこんなの。



まず水羊羹の命は切り口と角であります。宮本武蔵や眠狂四郎が、スパッと水を切ったらこうもなろうかというような鋭い切り口と、それこそ手が切れそうなとがった角がなくては、水羊羹といえないのです。

墨色の美しさは、水羊羹のうす墨の色にあるのです。はかなくて、もののあわれがあります。

水羊羹と、羊羹の区別のつかない男の子には、水羊羹を食べさせてはいけません。そういう野郎には、安ものの羊羹をあてがって置けばいいのです。

心を静めて、香りの高い新茶を丁寧にいれます。私は水羊羹の季節になると白磁のそばちょく(原文ママ)に京根来の茶卓を出します。

すだれ越しの自然光か、せめて昔風の、少し黄色っぽい電灯の下で味わいたいものです。

クーラーよりも、窓をあけて、自然の空気、自然の風の中で。

私は、ミリー・ヴァーノンの「スプリング・イズ・ヒア」が一番合うように思います。冷たいような甘いような、けだるいような、なまぬくいような歌は、水羊羹にピッタリに思います。

水羊羹は、ふたつ食べるものではありません。歯を食いしばって、一度にひとつで我慢しなくてはいけないのです。その代わり、その「ひとつ」を大事にしましょうよ。

水羊羹は江戸っ子のお金と同じです。宵越しをさせてはいけません。水気が滲み出てしまって、水っぽくなります。水っぽい水羊羹は始末に悪いのです。




ええ!?「一度にひとつで我慢しろ」と!?この私に!?
そんな殺生な…(涙)。
うーん、それを我慢してこその醍醐味なのだろうけど…けど…けどねえ(^^;)。
(1コをすんごくでっかく切ったらいいのか?と悪足掻きしてみるw)

まあいい、それは出来上がってから考えるとして、まずは作ってみようじゃないか!



前回作った、和菓子職人さんが教えてくれるレシピも本格的だったけど、今回のレシピはもっと凝ったものだった。
使う砂糖は前回ザラメだったけど、今回は三温糖と和三盆。
寒天だけでなく本葛粉も使う。
計量も慎重に、慎重に。
(ホントは道具も本格的に本馬毛の裏ごし器が欲しかったんだけど、これがまたいいお値段な上にどこにでも売ってるというシロモノではなく、ここだけは仕方なく妥協^^;)。

更に前回と違うのは、出来たあんこを一日寝かすということ。
なので、メインの作業が1日目になった。

あんこ作りの過程が「キラウエア!」なのは前回と同じだけど、一度学習してるからね、今回は火傷しないように深鍋にミトンを用意して。
それでも多少「アチッ!アチチッ!」とはなるワケで。
ま、これぐらい苦労して作ってこそ、出来上がったときの喜びが大きいのだから、そこは我慢、我慢です。

無事あんこが出来上がり、一日寝かせて、さて2日目。
早速朝から取りかかった、だってこの日は試食のために恋人を我が家に招いてたんだもん。
作業が終わって、あとは冷すだけ、フフフーン♪



そして出来たのがこちら。
IMG_3777.jpg
2つ乗ってるのはこの際目を瞑っていただくとして(^^;)、我が家には白磁のそば猪口も京根来の茶卓もないから、せめてもと思い、千鳥の銘々皿と黒文字でなんとかそれらしい雰囲気を出してみたんだけど…。

さて、肝心の切り口はこんな感じ。
IMG_3775.jpg
切るときはハラハラドキドキ。
息を止めて、ひと思いにスッと切らなきゃいけない。
宮本武蔵や眠狂四郎とまではいかないけど、ま、一応角は出来てるってことにしとこう(^^;)。

自分もまだ試食してないから、恋人に出すまで気が気じゃない。
失敗してたらどうしよう?
いやいや大丈夫、見た目には成功でしょう。
その二つが頭の中を駆け巡ってた。



恋人がやって来た。

風情あるすだれも、昔風の電灯もない。
自然の風だけじゃ耐えられそうにない猛暑日だったから、クーラーの効いた部屋へ通した。
温かい緑茶を淹れたけど、新茶じゃない。
ミリー・ヴァーノンのCDは持ってないから、youtubeで勘弁してもらった。

でもね、「貴女に食べてもらいたくて一生懸命作ったよ」っていう気持ちはたっぷり込めてある。
そう思って、恋人の前に水ようかんを差し出した。

「うん、美味しい!」のひと言、それを聞けただけで大満足だった。
当然恋人の欲目もあっての判定だと分かっちゃいるけど、それでも喜んで食べてくれたことが何より嬉しかった。



食べ終わって暫くしてから恋人が言った、「ねえ、私さあ…あんこはこしあんでもいいって思ったわ(笑)」だって!
でもアレ?アレレ?
「こしあん“でも”いい」なのか?
「こしあん“が”いい」じゃないのか?

ま、完全な宗旨替えとはいかないまでも、これまで「え~?あんこはやっぱりつぶあんだよ」と言っていた恋人に、こしあんの価値を認めさせたのだから、私にとっては快挙、快挙だろう。



こうして共通項がまた一つ増えたんだね。
付き合いが長くなるほどに、お互いの違いも分かり合えて、重なりも分かり合えて。
それでももっともっとこの人を深く知りたいと思う、まだまだ知らないアナタを見てみたいと思う。
「好き」って不思議な感情だね。


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ミリー・ヴァーノンの「スプリング・イズ・ヒア」とは、こんな曲です。


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後日、余ったあんこで作った「冷やし白玉しるこ」。
IMG_3780.jpg

白玉粉を「耳たぶくらいの柔らかさ」にこねるのって、案外ムズカシイ(^^;)。
でも美味しかった!

| 恋人のこと | 19:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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