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繰り返し読む現代詩

コモちゃん&レイセンセが教えてくれたように、夕方からホテルのガイドツアーというのがあって、恋人もこれは行ってみたいと言っていた。

館内のあちこちを小1時間ほど案内してくれるというツアーだったが、このホテルの歴史を感じさせるには十分だった。
雨で出歩くのを諦めた私たちだが、歴史あるクラシックホテルだからこそできる特別なサービスに触れられて、とても満足だった。

夕食は外で摂った。
ホテルのメインダイニングで高級フレンチ…なんてーもんは我々には似合わない(w。
すぐ近くに美味しいイタリアンがあるのを恋人が調べてくれていた。
「安くて美味しい。でも雰囲気はファミレス風(笑)」というので、果たしてどうだろうかと微かに不安も抱いていたのだが、これがこれが食べてびっくり!いやっ、旨いではないか!
味もボリュームも値段も大満足。
だが、そうすると何故店の作りだけがイマイチなのかが不思議でならない。
あと20年もすれば、レトロ感が生まれていい感じになりそうなものだけど…(笑)。

メニューに「本日のスープ『ジャガイモの冷製スープ』」とあったので、私がそれを頼んだら恋人が言った、「エモはとんでもない冷え性なんだから温かいのも食べなきゃダメ!」と。
そしてオニオングラタンスープも頼んでくれた、どこまでも心配性な恋人(笑)。
でも、その心遣いが嬉しかった。

ここではワインは1本だけ、次のバーに備えて余力を残しておかなければ。



ホテルのバーに行った。
重みのある扉を開くとそこはもう別世界、タイムスリップしたような感覚になる。
ああ、なるほどね、恋人が来たがったわけだ。
クラシックで落ち着いた雰囲気、静かに流れる生演奏のピアノ、カウンター越に見えるバーテンダーの手馴れた動き、タキシードで案内してくれるボーイの落ち着き、メニューに並ぶ著名人の名を冠したカクテル、どれもが一流と思わせてくれるものだった。

「折角だから、ここでしか飲めないものを飲もうよ」

20090826204708727.jpg

20090826204701e50.jpg

恋人は『レノン』、私は『ヘレンケラー』を注文した…らしい。
(実は私は何を飲んだのかまったく記憶がなくて、後から恋人に聞いたのだ^^;)

革張りのどっしりとしたソファに座り、心地よいジャズの演奏を聴きながら、薄暗い中、テーブルに置かれたキャンドルライトの灯りに仄かに照らされる恋人の顔を見つめていた。



なんでその話題になったのかは覚えていない。
恋人が「好きな詩がある」と言った。
もう20年も前に出会った詩で、今でもときどき思い出しては読み返しているのだという。
「携帯に保存してあるんだ」と言って、私に見せてくれた。

なんだか分からないけれど、読んでて涙が零れた。
『詩』なんてものに感動するタイプじゃない、これまでだって国語の授業で『詩』ほど嫌いなものはなかったくらいだ。
だって言いたいことをはっきり言わないんだもの。
「行間を読め」だ?
言ってないんだから分かりようがないだろ、ボケ!
…と思っていた。
「好きな詩がある」なんてキザな台詞を吐いたのが恋人でなければ、「うわ!こいつキモッ!」って思ったに違いない。

それなのに、涙が零れた。
薄暗いから分からないだろうと思ったら、すかさず見つけられてしまった。

「なに泣いてんの(笑)」
「ん?なんでだろ?分かんない」

映画祭のときは「泣いてないもん!」と意地を張った。
でもこのときは、もうそんな気すら起きなかった。

どういう感情が涙腺を緩めたのかはまったく分からない。
悲しいでもなく、嬉しいでもなく、可哀想でもなく、可笑しいでもない。
むしろ頭の中では冷静に文字を追っていたような気がする。
なのに、涙が勝手に零れてくる、ものすごく変な感じがした。

ただ、恋人と同じものを見て、読んで、心が動かされたことが嬉しかった。
同じ感動なのかは分からない、でも恐らく似た、近いものなのだろうということだけは分かった。
それが嬉しかった。


↑よろしかったら一押しお願いします

↓恋人の「好きな詩」を紹介します。


「ぎらりと光るダイヤのような日」

短い生涯
とてもとても短い生涯
六十年か七十年の

お百姓はどれほど田植えをするのだろう
コックはパイをどれ位焼くのだろう
教師は同じことをどれ位しゃべるのだろう

子供たちは地球の住人になるために
文法や算数や魚の生態なんかを
しこたまつめこまれる

それから品種の改良や
りふじんな権力との闘いや
不正な裁判の攻撃や
泣きたいような雑用や
ばかな戦争の後始末をして
研究や精進や結婚などがあって

小さな赤ん坊が生まれたりすると
考えたりもっと違った自分になりたい
欲望などはもはや贅沢品になってしまう

世界に別れを告げる日に
ひとは一生をふりかえって
じぶんが本当に生きた日が
あまりにすくなかったことに驚くだろう

指折り数えるほどしかない
その日々の中の一つには
恋人との最初の一瞥の
するどい閃光などもまじっているだろう

本当に生きた日は人によって
たしかに違う
ぎらりと光るダイヤのような日は
銃殺の朝であったり
アトリエの夜であったり
果樹園のまひるであったり
未明のスクラムであったりするのだ

=========

茨木のり子(見えない配達夫より)

| ふたりのこと | 21:40 | comments:8 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT

Re

箱根の話題になってから、肝心な話に進むまでにはかなりの時間がかかったのに、終わったと思ったら更新が早いですね~(笑
気持ちはわかりますw
素敵なゆるゆるとした時間を愛する人と過ごせる贅沢や
心の共有を詩という媒体を通して可能にすることができて
なんて素敵なんだろうと。
大人な休日ですね^^。

| ディ | 2009/08/27 00:07 | URI | ≫ EDIT

はじめまして。

コモちゃんのリンクから来ました
素敵な詩ですね
エモさんの恋人は感性が素晴らしい
これからもお邪魔させて下さい

| しな(吉) | 2009/08/27 10:31 | URI |

Re

うん。
良い詩ですね。
何度も読めば、それだけ違った解釈が出てくるような。
奥深くて、それでいてスーっと染み込んでくるような。
不思議な感じがしました。
・・・って真面目に書きすぎた(ぉぃ)??

| ルナ | 2009/08/27 14:51 | URI |

ディさま

やっと山場(?)を越せたのでね、ホッとしたというか何というか…ハハハ(^^;)。
それに後が詰まってるんですよー、書き残しておきたいことが次々起きて追いつけなくなってます(笑)。
まさか『詩』と来るとはねえ、思ってもみませんでした。
恋人と接していると、常に新たな発見がいっぱいあって、興味が尽きません♪

| エモ | 2009/08/28 02:59 | URI | ≫ EDIT

しな(吉)さま

ようこそ、いらっしゃいました~(^o^)。
恋人のことを褒めてもらえて光栄です♪
でも、なんか照れますね(^^;)。
これからも是非々々いらしてくださいませ(^o^)。

| エモ | 2009/08/28 03:02 | URI | ≫ EDIT

ルナちゃん

ルナちゃんは自分で曲を作ったりしてるから、
私なんかよりずっとずっと「詩」ってものの良さを分かってるんだよね。
> 何度も読めば、それだけ違った解釈が出てくるような。
そだね、読み手のそのときの心理状況によって、受け取り方も違ってくるのでしょう。
真面目なルナちゃんも好きだよ(笑)!

| エモ | 2009/08/28 03:07 | URI | ≫ EDIT

本当に

素敵な、休日だったみたいですね(^^
茨木のり子さんは私も好きで
詩+エッセイ集を持ってるので
(この詩は載っていませんが............)
良かったら、今度会う時持って行きましょうか?
でも、恋人と二人で読むからいいんで
私が持って行った本じゃダメかなあ~~~???(笑)

| gabrie | 2009/08/28 08:04 | URI |

gabrieさま

え!?gabrieさんも茨木のり子さんが好きなの?
あー、道理でウチの相方とあんなにウマが合うわけだ、妙に納得(笑)。
今度是非貸してください、私もどんな人なのか興味を持ち始めているので(^^;)。
お願いします♪

| エモ | 2009/08/29 08:25 | URI | ≫ EDIT















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